<INTRODUCTION 2/12>
それは撮影前日の一本の電話からはじまった。
「ネクタイの色が分からない・・・。」
電話の主は、今作で重要な役どころを演じる水上明也。
前回の撮影で着た衣装はスーツ。ネクタイの色は2パターンあった。その2色のどっちが明日のシーンとつながるほうか自信がない、と、弱気な問題発言。いつもは慎重に衣装のメモを取っている水上も、今回はスーツのみということで油断したようだ。ここに載っている写真(↓1/11参照)を見ても判別不能だという。
たかがネクタイ、されどネクタイ。間違いは命取りだ!
チャレンジャー水上のライフライン"テレフォン"を受けた監督の井手も、全く記憶に無く答えられない。しかも撮影テープは東京だ。
水上に代わって、前回の撮影に参加した"オーディエンス"一人一人に電話で質問開始!答えはA.「きみどり」B「ベージュ」ですでに "フィフティフィフティ"。それでも返ってくる答えは
山口「どっちかといえば・・・ベージュ」
五島「ぜんぜん分からない・・・」
木村「覚えているのはきみどり」
神田「2パターン撮れば?」
などのあいまいな答え。
人間の記憶なんてこんなものだ・・・と、落胆。
すると最後の一人、
サンダーこと杉山がなんと覚えている様子!
助かったと思った矢先、
サンダー「黒じゃない?」
井手「ぜんぜん違う!」
サンダー「じゃぁ・・・シマシマ!」
井手「だからきみどりかベージュだって!」
お話にならない。。。
この悲惨なオーディエンスのみなさんの結果を水上に報告。
もう賭けるしかない、"ドロップアウト"は不可能なのだ!
水上「・・・じゃぁきみどりでファイナルアンサー」
井手「ファイナルアンサー!?」
水上「ファイナルアンサー!」
結局ライフラインを使い切っても確証は得られず、みのアップ&ドラムロールが鳴りつづけたまま、撮影に突入・・
<撮影日記 2/13>
一ヶ月半ぶりの井手組の撮影は、いよいよクライマックスに突入。今作品で最も重要な、主演の山口大輔と水上明也のからみ。重要なだけにこの日はこのシーンだけにしぼって撮影することに。
監督の井手義和、スタッフの神田泰を加えた計4人で車に同乗。朝早く名古屋から岐阜へと出発。時間のロスを防ぐために道中、山口のアドリブによるドライブシーンを1カット撮影。
さらに、池田監督より依頼された、初監督作品「落としあな」の追加シーンを神田泰のアドリブで1カット撮影。
岐阜県に入ったところで地元民スタッフ五島由紀恵と合流。彼女の誘導で(迷いながらも)目的地の山に到着。山といっても山頂にお参りする不動があり、上まで車で登れる。まずはその山頂の場面から撮影開始。
この日の空は晴れたり曇ったり。日が差すと心地よいが、太陽が雲に隠れるととたんにものすごく寒くなる。しかも雪が今にも降り出しそうな感じで撮影シーンのイメージにはぴったり。しかし役者の二人にはかなりこたえたようで、顔がこわばりセリフをかみまくり、特に動きも無いので、じっと自分の立ち位置で強い寒風に必死に耐える。それでも体が横揺れするほど。
仕事の都合で途中で五島が下山したあと、その寒さはピークに達し、思わずスタッフの神田の動きが通常の2倍の速さに切り替わり、てきぱきと進行。ついに雪がちらつき始めたころ、この場面は無事終了。その後は、山口、水上が山頂に向かってひたすら歩くシーンをいろんなアングルで、日が沈むまで撮影。今までのI.D.K.作品には無かった広がりのある画が撮れました。
<EPILOGUE 2/25>
撮影が終わり、東京に戻り、一週間以上過ぎました。
忙しくI.D.K.の仕事をこなしている間も、
みのアップ&ドラムロールは続いていました・・・
そしてついに「I.D.K.ミリオネア」
水上明也1000万チャレンジの結果が!
「正 解!」
これを読んで、水上明也が名古屋でガッツポーズしている画が浮かんできます。
「おめでとう!」
といいたいところですが、これから気をつけてね。水上くん。
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